Kazuki Higa 2022

2022年 ツアープレーヤーNO.1
比嘉一貴

最終日、最終組のスタート時から際立っていた。

1番ティに入場してくるなり186センチの星野陸也と、181センチの岩﨑亜久竜に挟まれ「もう負けてる…」と、冗談めかして嘆くと観客がどっと沸いた。

3年ぶりに復活した恒例のキッズエスコートで、一緒に行進してきた地元の子どもたちとも背比べ。

「僕と変わらないんじゃないか・・・?」。
記念撮影ではすっかり顔が埋もれて「僕、前に行ったほうがいいですか?」と、カメラマンさんに提案したら、前列の子どもたちが屈んでくれて、また笑いが起きた。

緊張の場面がほっと和んだ。
地元の星野びいきの興味がぐっと向いた。

低身長を自虐しながら長身2人に負けじと飛ばし、風に負けない低弾道ショットは出身の沖縄仕込み。

2番でチップインイーグルすると、3番では川で水しぶきを上げたボールが跳ねてなんと、チャンスについた。

15番で15メートルを沈めて1日2個目のイーグルを奪い、3人タイで入った最終ホールの3メートルのバーディパットは「どの優勝より大事なパット、全身震えた」と 苦悶の表情で、2度も仕切り直したころには大観衆をすっかり虜に。

「誰の応援にしても、大勢の前でプレーできるのは嬉しいこと。(地元の)星野選手の優勝が見たい方が多かったと思いますが、僕にも味方をしてくださって、本当にありがとうございます」と、心から感謝した。

自分より、28センチも大きな2人をいっぺんに負かした。
身長158センチは、1973年のツアー制度施行後、もっとも小さな日本タイトル覇者の誕生だ。

「僕を見て、小さくてもできる、と勇気をもってくれる人がいたら嬉しい。それは僕にしかできないこと」。

子どもたちの心にもきっと響いている。

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